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私の作品と道具〜作家さんを訪ねて 藤本裕美先生

オーダードレスや、刺しゅう、布花のアクセサリー制作を始め、作品展やワークショップといった活動もされている藤本裕美先生。これまでに「布花」、「刺しゅう」、「お直し」といったテーマで4冊の著者本も出版されています。
現在は日本で活動されていますが、これまでフランスのパリで、コレクションブランドのアトリエにパタンナーとして勤められ、活躍してこられました。
そんな藤本先生ですが、パタンナーの道を目指す前はなんと銀行にお勤めだったそうです。なぜものづくりの道に進むことになられたのかを伺うと、少し意外な答えが返ってきました。
お母さまが洋裁をされていたこともあり、何かを作ることにはずっと興味があって、大学も家政科に通われていたという藤本先生。ファッション関係の仕事に対するあこがれは抱きつつも、堅実な道を歩むべく卒業後は銀行に就職されました。就職して3年ほど経ち仕事には慣れてきたものの、ものづくりがしたいという思いは消えず、何となく生活に物足りなさを感じる日々。
そんな中、旅行で訪れたフランスがあまりにも素敵で、「私もここで暮らす!」と一大決心をされたそうです(!)。単に留学などで行って帰ってくるだけでは終わりたくないと考えた藤本先生は、大好きなファッションをもう一度勉強しなおし、パタンナーとしてパリで働こうと計画を立てられました。

銀行を退職し、服飾系の専門学校に入学。通常4年のコースを3年で終え、最終学年の時に校費留学制度の選抜を勝ち取り、念願のパリへ行けることに。夢の実現に大きく一歩踏み出し、パリでのさらなる学びをスタートされました。
パリでは授業やアトリエでの研修などをこなす日々。苦労の末、念願だったパタンナーとしての仕事に就くことが出来ました。
フランスへの旅行をきっかけに描いた夢を見事に実現させた藤本先生。旅先で「ここで暮らしたい」と思ったことのある方は多いと思いますが、実現させるのは難しいもの。しっかりと計画を立て、ひたむきに努力されて夢をつかまれた姿はとてもかっこいいですね。
シャネルやジバンシィといったブランドのアトリエで働く中で、刺しゅうや布花といった職人による手仕事を目にする機会が増え、その美しさに感銘を受けたという藤本先生。次第に自分でも学びたいという気持ちが強くなり、エコール・ルサージュというオートクチュール刺しゅうの学校で、リュネビル刺しゅうの技術を習得されました。
独学で作っていた布花も、良い先生との出会いがあり、技術を磨いて来られたそうです。布花の作品がきっかけとなり、帰国後初めての著者本『普段使いが可愛い小さな布花コサージュ』(産業編集センター)を出版されました。

その後2冊目の著者本は『刺しゅうでお直し』(産業編集センター)という「お直し」をテーマとしたものですが、ドレスなどの制作といったお仕事をされている中で、なぜお直しの本を出されることになったのでしょうか?
服作りに携わってきた経験から、服を大切に長く着たい、着てほしいという思いをずっと抱いておられたという藤本先生。ご自身のお洋服もお直しをしながら着続けるなど、お直しは当たり前のこととして生活の中で実践されていたそうです。さらにルサージュで刺しゅうを学んだことで、きれいに直すだけでなく、刺しゅうを使った見えるお直しも可愛いなと思われるように。そんな経験から「刺しゅうで直す」をテーマとした本の企画がスタートしました。
本の制作を始めるにあたって、まずは「お直ししたい洋服」を集めるところから始められたとのことで、本に掲載されているお洋服は、誰でも一度は経験したことがあるような穴あきやシミ、ほつれなど、いつの間にか出来てしまうダメージのあるものばかリです。「それらをただ元通りに直すのではなく、持ち主の方の生活スタイルなどを想像しながら、その方の個性に合うようにお洋服をよみがえらせることを目指しました」と藤本先生。その言葉通り、お直ししつつも刺しゅうをポイントにした、おしゃれに見えるアイデアがたくさん掲載されています。使われている刺しゅうの技法も基本的なものが用いられていますし、ダーニングやニードルフェルトの技法を使った提案もあり、自分が持っているお直ししたいお洋服に応用できるテクニックばかりです。

最新刊の『フレンチシックなサイズとダメージのお直し』(産業編集センター)では、ダメージだけでなくサイズのお直しの提案もされていています。また、『図案のいらない可愛い刺しゅう』(産業編集センター)という本では、タイトルの通り細かい図案を写さなくても楽しめる刺しゅうを提案されており、ニットのお洋服やストール、かごバッグなど、図案を写せない素材にも手軽にかわいく刺しゅうができるアイデアがたくさん掲載されています。図案のいらない刺しゅうは、お直しにも活用できますね。
刺しゅうをお洋服の装飾として生かし、様々な技法とアイデアでお直ししてよみがえらせるそのお仕事ぶりを拝見すると、ずっと服作りに携わってこられた藤本先生ならではの視点と経験が生かされているのを感じます。
多方面でご活躍中の藤本先生ですが、今後はウエディングドレスの制作に力を入れていきたいと考えておられるそうです。また、作品展やワークショップなどの活動もされる予定とのことで、これからのご活躍も楽しみですね。

著書ご紹介

●『フレンチシックなサイズとダメージのお直し』
産業編集センター
お直しに刺しゅうやビーズ、レース、ダーニングをプラスして、シックで素敵なお繕いが楽しめます。ウエスト出しや丈詰めなどの「サイズのお直し」と、虫くい・色あせなどの「ダメージのお直し」のアイデアを集めました。

 

●『図案のいらない可愛い刺しゅう』産業編集センター
図案なしで簡単に楽しめる刺しゅうの本。丸や直線など、シンプルな形を組み合わせてつくる可愛いモチーフを紹介しています。図案を写す必要がないため、刺す場所や素材を気にせず自由に刺しゅうを楽しめます。

 

●『刺しゅうでお直し』産業編集センター
お直しすることで、もっと着たくなる、使いたくなる!
破れた靴下、色落ちしたエプロン、袖が裂けたシャツ等、お気に入りの洋服や小物のダメージを、刺しゅうでお直しする方法を紹介しています。

 

●『普段使いが可愛い 小さな布花コサージュ』
産業編集センター
コットンやリネンなどの天然素材を使った、毎日身につけたくなる5cmサイズの布花コサージュの作り方を紹介しています。(※現在品切れ・重版未定)

作品展・ワークショップのご案内

●作品展
3月15日(火)~4月15日(金)に大垣書店京都本店(京都市下京区)にて作品展が開催されます。
会期中の4月8日(金)、9日(土)にはリュネビル刺しゅうと布花コサージュのワークショップも開催予定。
詳細は今後大垣書店のホームページに掲載予定です。
<大垣書店>
https://www.books-ogaki.co.jp/

 

●第46回 2022 日本ホビーショー
4月27日(水)~29日(金・祝)に東京ビッグサイトで開催される日本ホビーショーで、スペシャルワークショップ「刺しゅうでお直し」を実施されます。
詳細は今後日本ホビーショーの公式ホームページに掲載予定です。
<日本ホビーショー公式ホームページ>
https://2022.hobbyshow.jp/

 

●ワークショップ(東京)
・LISETTE 自由が丘店  (https://lisette.jp/)
3月22日 (火)、29日 (火)
「リュネビル刺しゅうで作るブローチ」

 

・ENNESTE 西荻窪 (https://www.enneste.com/)
4月2日 (土)
「ミモザの布花コサージュ」

 

作品展やワークショップの詳細などは藤本先生の
Instagramで情報発信されるとのことですので、気になる方はぜひチェックしてください。
<藤本裕美先生Instagram>
@f.hiromii

<藤本裕美先生 Profile>

2004年に渡仏され、シャネルやジバンシィ、マルタングランといったブランドのアトリエでモデリストとして活躍されたのち、エコール・ルサージュでリュネビル刺しゅうを習得され帰国。オーダードレスや、刺しゅう、布花のアクセサリー制作の他、作品展やワークショップも開催されています。これまでに4冊の著者本を出版されるなど、幅広く活躍されています。

 

◆Instagram @f.hiromii
◆ホームページ https://www.hiromifujimoto.com/