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私の作品と道具〜作家さんを訪ねて 田口 ナツミさん

透過刺しゅう作品

“透過刺しゅう”という独自の技法で、空間に浮かぶ線画のようなアート作品を制作している田口ナツミさん。
水に溶ける布に硬化処理したミシン糸で刺しゅうを施し、最後に布を溶かすことによって、糸だけで形作られた繊細な作品を生み出しています。

きっかけは、村の小さな文化祭

田口さんが刺しゅうを始めたのは、約6年前のこと。当時お住まいだった奈良県下北山村の文化祭へ作品出品の誘いを受けたことが転機となりました。その際テーマとして選んだのは、田口さんが昔から空想していた「空間に浮かぶ絵」。美大卒業後、アートから離れた生活を送っていた田口さんですが、「村の人たちを驚かせたい」という一心で試作の日々が始まりました。

糸で“空間に浮かぶ絵”を生み出すまで

最初に試したのは、手芸店で見つけた「フリーステッチングニードル」。ステッチ面の糸をあえて浮かせるように刺し、さまざまな高さのループで絵を表現していく中で、糸を使った表現に可能性を感じました。
しかし、絵を空中に浮かべるためには糸の形を保つ必要があります。そこで糸を固める加工の研究を始め、糸の種類や硬化素材の選定などを試行錯誤。
硬化した糸はフリーステッチングには使えなかったため、制作方法を手刺しゅうに切り替え、最終的に溶ける布に刺しゅうして糸だけを残す方法にたどり着きました。
こうして完成した初めての透過刺しゅう作品は文化祭で好評を博し、村の人たちからも大きな反響を得ました。
これを機に田口さんは本格的に制作活動を続けることに。制作方法の研究は文化祭後も続けられ、最適な糸の加工方法を確立するまでに1年半を費やしました。

広がる「透過刺しゅう」の世界

透過刺しゅう作品をオンラインで販売するようになるとSNSで話題となり、多くの方から注目されるように。委託販売や作品展を行うなど、活動の幅を広げていきました。
現在は透過刺しゅうの楽しさを広める活動にも積極的に取り組んでいます。
ヴォーグ学園(名古屋校・心斎橋校)では3回完結の定期講座を担当。普段フランス刺しゅうなどを楽しんでいる方々が新たな技法に興味を持って参加しています。
また、地元奈良県の蔦屋書店では1日限りのワークショップも随時開催中。難しそうに見える透過刺しゅうですが、ルールさえ守れば作品作りを楽しめるため、初心者の参加も多いそうです。

制作のこだわり

田口さんの作品に登場するモチーフは生き物や自然が中心で、必ず実在のモデルを参考にしています。作品の展示場所には必ず事前に訪れ、その土地に根付いた動植物や会場の雰囲気に合ったテーマを選んで制作をスタート。図案は、布を溶かした時にバラバラにならないよう一筆書きのように構成し、糸同士を結びながら刺しゅうしていきます。また色選びは実物の色を単に再現するのではなく、展示空間の雰囲気やご自身の感覚を大切にしながら、メインの色にニュアンスを重ねていくイメージです。作品には裏表がないため、刺している時は常に両面を意識し、どの角度から見ても美しい仕上がりを目指します。
そのこだわりと豊かな表現力によって生まれる透過刺しゅう作品は、今後もたくさんの人々の心を惹きつけていくこと間違いありません。

information

● 10/1~10/7 神戸阪急にて個展開催予定
● ヴォーグ学園(名古屋校・心斎橋校) 10月より新規講座スタート

田口さんの作品は透過刺しゅうがメインですが、刺しゅう作品をシルクスクリーン印刷でグッズ化することも。その際はフリーステッチングニードルを使ってデザインされています。

Profile

奈良県出身・在住。京都芸術大学にて現代美術を学んだのち、「空間に浮かぶ絵」を表現するために刺しゅうを始めました。
独自技法「透過刺しゅう」による線画のようなアート作品は、著名人をはじめ多くのファンを魅了しています。
現在は展示会や作品販売のほか、定期講座やワークショップなど幅広く活動中。

 

Instagram  @na.canada

X(旧Twitter)  @NatsuTagu